1060製作記(1)3D CAD
2015/02/13
スケール・モデルをスクラッチする際には、幾つかのハードルがあるが、大まかには次の3点と云って良いだろう。
先ず、第一に正確な図面が要る。図面の精度以上に精度の高い作品をものにすることが出来ないので、正確な図面がなければ何事も始まらない。
第二に、材料を切削して作成する部材の寸法を図面通りの仕上げにすることもさることながら、直角や直線もきちっと確保しなければならない。
そして、最後にその部材を歪みなく組み立てなければ、それまでの苦労が水泡に帰すことになる。
と云う訳で、土台となる図面を正確に描くために、小生はTURBO CADと称するCADプログラムを使っていた。
そして、第2、第3のハードルを何とかクリヤーして・・・・。
しかしながら、第1のハードルと第2のハードルの間に、大きな問題があることに気が付いた。
実は、これまでも実際に板を切り出す際に板の厚さを考慮し忘れてしまうことが幾度となくあった。半田付けをして組み立てる前に、その誤りに気が付けば良いが、慎重に切り出した部材だけにそんな誤りを犯していることなどつゆとも思わず、あろうことか半田付けが終わった後にその事実に気が付き、愕然とすることの繰り返しであった。
そこで、図面を描く際に外形だけではなく一つ一つのパーツ単位にまで細かく描こうとしたのだが、そうすると沢山の線が錯綜してその線を追うだけで厭になってしまう。
そこで、小生の様な単純な頭脳でも間違えが少なくなる良い方法はないかと模索していた所、3D CADを使えば何とか成るのではないかと思い至った。
しかし、天○堂の既成品の蒸気機関車を買える程の財力があれば別だが、3D CADの正規版を趣味に使うにしては少々高過ぎる。そこで、フリーの3D CADを探してみたが、試用版のため使用期間に制限があったり、使用期限がないものは機能に制限があったりと、何れも帯に短し襷に長しの状態だった。
その様な中で例外的にあったのが、GoogleのSketchUpだった。これは解説書が豊富にあった上、操作は直感的で素人にも使い易く、このソフトを使って1060の図面を描いていた。
しかし、使い込んでみると色々と物足りない点が出て来たので、又々、ソフト探しをすることに・・・・。
そして、これは使えそうと思われるものは片っ端からインストールして試した結果、最終的に候補として残ったのが、
123D Design
PTC Creo Elements
DesignSpark Mechanical
の三つ。
123Dは、出力できるファイル形式が独自のものだけである上、レーヤー機能がないのが問題だったが、画面が洗練されているのも良かったし、描いたソリッドモデルも綺麗で非常に心惹かれるものがあった。
しかし、洗練され過ぎていて、例えば平行線を描く機能がないなど、他に四角形を描く機能で代替させるなどの方法があるにしても、正確な図面を描くと云う本来的な目的からするとやり過ぎの感があった。しかも、鉄模の様に沢山の部材を組み立てて作品にする場合、部品毎に分けて図面を描くことが出来るレーヤー機能やそれに変わる方法がないのは致命的だと思った。
PTCは使用期限もなく、機能も製品版と変わらないとのことだったので候補だったが、アセンブリ個数が60個に制限されているのが難点だった。彼らが云うアセンブリとはどの様な単位を指しているのか定かではないが、どちらにしても、鉄模であれば部材の数も60個もあれば足りるかも知れない。しかし、何か制限があるのは今一つ頂けないし、更にレイヤー機能がなさそうな点も気になった。
最後にDesignSparkだが、実は何年も前に試用してみたことがあった。
その時は、描いた部材を組み合わせて全体にする際、部材と部材との位置合わせ(スナップ)がどうしても上手く出来ず、この点でスマートに出来るSketchUpに軍配を上げた経緯があった。
今回このDesignSparkがVer.2になっていたので、再度試用してみた。問題のスナップの方法は変わらなかったが、色々と試している内に、X,Y,Zの3方向に夫々3回に分けて移動させれば良いと気が付いた。出来れば、斜めに移動させる手段があれば一発で済むので是非欲しいと思う所だが、手間は掛かるにしても問題がないことが分かった。
スナップの方法さえ分かれば、扱えるファイルの形式も豊富にある上、レーヤー機能もあるので、充分に使える。
と云う訳で、DesignSparkの試用を兼ねて1060の図面を描いてみた。
これで、取り敢えず上回りの作図は完了したので、次はいよいよ難関の下回りに取り掛かろうと思う。下回りでは、車輪やロッド等が例えばボイラーやランボード等に干渉しないよう、その状況が3D CADを使うことによって避けられればと思う。