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1060製作記(184) DesignSpark

3D-CAD

小生は、1060製作記(1)に記載した通り、型式1060をスクラッチするに際して、3D-CADDesignSpark Mechanical(以降、DSMech)を使用しているが、長い間Ver.2のまゝバージョンアップがなされずにいた。とは云え、特に不具合もなく、その後Fusion360などいくつかの無料3D-CADが出て来たが、使い慣れていることもあって、以来、使い続けて来た。

所が、ある時、HPを偶々覗いてみると、Ver.4にバージョンが上がったとアナウンスされているのを見付けた。
Ver.3ではなく、一段飛ばしのバージョンアップなので、少々意外な気がしたが、Ver.4は64ビット版とのこと。32ビット版のVer.2でも、前述の様に処理速度が遅いなどと云うこともなく不具合を感じることはなかったのだが、折角バージョンを上げてくれたのに、それを見送るべき理由もない。
と云う訳で、Ver.4をインストールして使い始めたが、画面構成もVer.2と変わらず、普通に使っているだけでは、何処がどの様に変わったのかサッパリ分らなかった。

そんな状況で、前回の1060製作記(183)に記載した様に、出入り口のステップの存在を失念していた事態に陥った訳で、いつもの様にVer.4を起動させて、ステップの収め方をどうするか考えていた。
その最中のことだが、これまで通りの手順で印刷をした所、どう云う訳か輪郭線が異様に太く印刷されている。印刷する前の確認画面では何も問題がなかったので、これにはビックリし、当然のことながら、オプション設定などを色々とチェックしてみた。しかし、残念ながら、解決方法を見付けられない。

そこで仕方がないので、Ver.2で印刷しようとしたが、驚いたことにVer.4のデータはVer.2では読み込めなくなっている。ファイルの拡張子は変わってはいないので、Ver.2でも問題なく読めると思ったのだが・・・・。
次に試した解決策は、DSMechがサポートしているSTL、SKP、OBJ、AutoCAD DXFなどのファイル形式を介してデータをVer.4と交換することだが、データの交換は出来ている様だが、思った様な結果が得られない。

この様な状況になり、嫌な予感が・・・・・。
と云うのは型式1060のスクラッチに際しては、Ver.4にバージョンアップ以降も書き加えたり修正を加えたり、寸法を確認するために開いたファイルもあったので、もしやと思いチェックしてみた。すると、部位毎に45個のファイルに分割したファイルの内、7個のファイルがVer.4で上書きされており、Ver.2では読めないことが分かった。

世の中は新型コロナで外出することは自粛を求められ、釣りは所謂三密には関係ないと云えども、行くことについては家人も良い顔をしないので、道楽部屋に籠ってコロナ騒動が終息するのを待つ以外にない。

と云う訳で、釣りの時間をVer.2で読めなくなった7個のファイルを書き直すことに当てることにして、1週間。ようやく7個目のファイルに辿り着いた。

1060製作記(2)DesignSpark

3D-CAD フル・スクラッチ 形式1060 道具・冶具等

DesignSpark Mechanical(以下、DSM)を使って1060の下回りのデザインに取り掛かった。
しかし、この段階になってもこれまで使って来たSketchUpの操作感に慣れ切っている身には、どうしても馴染め難い点が残っていた。所が、ある時、プレーンの使い方が解ってからは、自由に断面を設定し、その断面図上で修正したり書き足したり、あるいは現物合わせが出来る様になって使い勝手がグーンと良くなり、今ではSketchUpを思い出すことはなくなった。

1060の3D図面は、SketchUpで描いた図面をベースにDSMで書き直すことで進めて来たが、基本的には一つ一つのパーツを3Dで描き、そのパーツを組み立てる方法を取っている。言い換えれば、真鍮の板や棒を切削することに替えてDSMでパーツを作っている様なもので、出来るだけパーツを構成する小さなパーツから書き起こす様にしている。

こうして描き集めたパーツを組み立てて、上から下から丸で実物を手にしている様に眺めるのも楽しいもので、実際にスクラッチする前に予行演習をしている様な意識でいる。

1060-01この様に描いては組み立て、描いては組み立てしている内に、シリンダー間隔を広く取り過ぎていたことが分かった。
この1060はメイン・ロッドがサイド・ロッドの内側に設置されているので、それが原因かと思ったが、その点を差し引いても左右のシリンダーの中心がメインロッドの外側に位置している。シリンダーの間隔についてSketchUpで描いた際には、英国型の280027と同じ様に21mmに設定しており、DSMで書き直す際もそのまま21mmを踏襲していたが、米国型ではシリンダー間隔にそれ程神経を使う必要はなさそうだ。

と言う訳で、シリンダー間隔を1.5mm詰めて略スケール通りの19.5mmとした。ここまで詰めると左右のシリンダーと先輪との接触が心配だが、3Dの図面上で見る限り問題はなさそう。寧ろ、スライドバーとの接触が気になる所で、4本で構成されているスライド・バーの奥の下の1本と干渉しそう。だが、ここは横から見る限りは最も目立ちそうにない箇所なので、軽くえぐって当たりを避けられる見込み。

1060製作記(1)3D CAD

3D-CAD フル・スクラッチ 形式1060 道具・冶具等

スケール・モデルをスクラッチする際には、幾つかのハードルがあるが、大まかには次の3点と云って良いだろう。
先ず、第一に正確な図面が要る。図面の精度以上に精度の高い作品をものにすることが出来ないので、正確な図面がなければ何事も始まらない。
第二に、材料を切削して作成する部材の寸法を図面通りの仕上げにすることもさることながら、直角や直線もきちっと確保しなければならない。
そして、最後にその部材を歪みなく組み立てなければ、それまでの苦労が水泡に帰すことになる。

と云う訳で、土台となる図面を正確に描くために、小生はTURBO CADと称するCADプログラムを使っていた。
そして、第2、第3のハードルを何とかクリヤーして・・・・。

しかしながら、第1のハードルと第2のハードルの間に、大きな問題があることに気が付いた。
実は、これまでも実際に板を切り出す際に板の厚さを考慮し忘れてしまうことが幾度となくあった。半田付けをして組み立てる前に、その誤りに気が付けば良いが、慎重に切り出した部材だけにそんな誤りを犯していることなどつゆとも思わず、あろうことか半田付けが終わった後にその事実に気が付き、愕然とすることの繰り返しであった。
そこで、図面を描く際に外形だけではなく一つ一つのパーツ単位にまで細かく描こうとしたのだが、そうすると沢山の線が錯綜してその線を追うだけで厭になってしまう。

そこで、小生の様な単純な頭脳でも間違えが少なくなる良い方法はないかと模索していた所、3D CADを使えば何とか成るのではないかと思い至った。
しかし、天○堂の既成品の蒸気機関車を買える程の財力があれば別だが、3D CADの正規版を趣味に使うにしては少々高過ぎる。そこで、フリーの3D CADを探してみたが、試用版のため使用期間に制限があったり、使用期限がないものは機能に制限があったりと、何れも帯に短し襷に長しの状態だった。

その様な中で例外的にあったのが、GoogleのSketchUpだった。これは解説書が豊富にあった上、操作は直感的で素人にも使い易く、このソフトを使って1060の図面を描いていた。
しかし、使い込んでみると色々と物足りない点が出て来たので、又々、ソフト探しをすることに・・・・。

そして、これは使えそうと思われるものは片っ端からインストールして試した結果、最終的に候補として残ったのが、
123D Design
PTC Creo Elements
DesignSpark Mechanical
の三つ。

123Dは、出力できるファイル形式が独自のものだけである上、レーヤー機能がないのが問題だったが、画面が洗練されているのも良かったし、描いたソリッドモデルも綺麗で非常に心惹かれるものがあった。
しかし、洗練され過ぎていて、例えば平行線を描く機能がないなど、他に四角形を描く機能で代替させるなどの方法があるにしても、正確な図面を描くと云う本来的な目的からするとやり過ぎの感があった。しかも、鉄模の様に沢山の部材を組み立てて作品にする場合、部品毎に分けて図面を描くことが出来るレーヤー機能やそれに変わる方法がないのは致命的だと思った。

PTCは使用期限もなく、機能も製品版と変わらないとのことだったので候補だったが、アセンブリ個数が60個に制限されているのが難点だった。彼らが云うアセンブリとはどの様な単位を指しているのか定かではないが、どちらにしても、鉄模であれば部材の数も60個もあれば足りるかも知れない。しかし、何か制限があるのは今一つ頂けないし、更にレイヤー機能がなさそうな点も気になった。

最後にDesignSparkだが、実は何年も前に試用してみたことがあった。
その時は、描いた部材を組み合わせて全体にする際、部材と部材との位置合わせ(スナップ)がどうしても上手く出来ず、この点でスマートに出来るSketchUpに軍配を上げた経緯があった。
今回このDesignSparkがVer.2になっていたので、再度試用してみた。問題のスナップの方法は変わらなかったが、色々と試している内に、X,Y,Zの3方向に夫々3回に分けて移動させれば良いと気が付いた。出来れば、斜めに移動させる手段があれば一発で済むので是非欲しいと思う所だが、手間は掛かるにしても問題がないことが分かった。
スナップの方法さえ分かれば、扱えるファイルの形式も豊富にある上、レーヤー機能もあるので、充分に使える。

1060-001と云う訳で、DesignSparkの試用を兼ねて1060の図面を描いてみた。
これで、取り敢えず上回りの作図は完了したので、次はいよいよ難関の下回りに取り掛かろうと思う。下回りでは、車輪やロッド等が例えばボイラーやランボード等に干渉しないよう、その状況が3D CADを使うことによって避けられればと思う。