1060製作記(175) 連通管

フル・スクラッチ ボイラー 上回り 形式1060

型式1060の側面には、後部と側面に設置された給水タンクを連結している太いパイプが走っている。手持ちの資料ではその太さの記載がないので、写真から適当に判断して、1.5mmの真鍮線を使うことにした。

この真鍮線を、それらしく曲げ加工をしなければならないのだが、そのために先ずジグを作った。
そして、工作に入ったのだが、思いの外真鍮線が硬くて上手く曲がってくれない。これまでの経験で、径1mmの真鍮線の曲げ加工はそれ程苦労することもなかったので、安易に考えていた。所が、1.5mmは硬い硬い。たった0.5mm太くなっただけで、こんなにも違うのかと驚かされた。
そこで、曲げる個所を部分的にナマしてみようと一旦は思った。しかし、ナマした上で曲げると加工そのものは容易になるが、出来上がりにシャープさを欠く様な印象だった様な記憶がある。
仕方がないので、小生の得意とする力技で数本作り、出来の良いものを採用することにした。

次いで、フランジ。分割されている連通管を連結するためのフランジの工作に入った。
これも資料の写真から適当にサイズを決め、中心に連通管が通る1.5mmの穴を空けた3m径の円盤に、固定するためのボルト用の0.4mmの穴を8個空けた。
実は、この工作があったので、簡易割り出し器を先ず作ることにした(左の写真はこの簡易割り出し器を使ってボルト用の0.4mmの穴を空けている所)。

フランジの様な円盤状の物を作る場合、小生は所定の厚みの真鍮片を丸棒の半田付けした上で、ML-210を使って所定の径にまで切削する方法を採っていた。
今回も当然同じ手法で工作に入ったのだが、直径3mm近くまで削り込んだ所で、丸棒から外れて切子の中に飛んで行ってしまうことが続いた。恐らく、直径3mmともなると接着面がかなり小さくなるので、切削する際の抵抗に負けてしまうのが原因だろう。1回の切込み量を少なくするか、バイトの切れ味を良くするかで解決出来ると思うが、今回は所定の穴を空けた3mmの丸棒を、所定の厚さに輪切りにする方法を採った。

左の写真は、力技で曲げて作った連通管フランジ

連通管は位置決め用の穴に通しただけの仮置き状態。又、フランジは予備を含めて5個作り、0.4mmの真鍮線を通しただけの状態で、この後、ボルトを表現すべく高さを削り揃えた上で、連通管に通して半田付けすることになる。

と云う訳で、連通管はパーツとしてはほゞ完了したが、これをどのタイミングで車体に固定するか、決め兼ねている。と云うのは、ランボードの下からキャブの下に掛けてブレーキ用の配管がウネウネと通っているので、順序を間違えると・・・・・・。

1060製作記(174) チリコシ

フル・スクラッチ ブレーキ配管関係 形式1060

コンプレッサーの前にぶら下がっているチリコシを作った。

材料は径6.0mmの真鍮丸棒の端材で、久し振りの旋盤作業。

1)先ず、丸棒をチャックに咥えて、本体より僅かに大きく
なっている蓋(?)の径に合わせて、切削。
2)次いで、本体の径に合わせて本体の長さだけ更に切削した
上で、チリコシ全体の長さになる個所で切断。
3)その上で、中央にコンプレッサーから来る配管用の穴とそ
の周囲に蓋(?)を固定するためのボルト用の穴を開けた。

と云う訳で、作業そのものは簡単なものだったが、切削用のバイトにチップを使ったため、上記の2)の段階で本体と蓋の段差の部分にRが付いてしまったのが気に入らず、糸鋸の刃を軽く当てて整形した。
その後、3)の作業をしたのだが、写真の左側の様に、見事にセンターを外してしまって、ボツ。

そこで、作り直しの作業に入ったのだが、段差部分にRを付けない様に、今度はチップを止めて突っ切りバイトを使うことにした。素材が真鍮であり、切削そのものも軽い模型のパーツ作りでは、突っ切りバイトで殆どの作業が可能であり、事実、小生もML-210を導入した当初は、突っ切りバイトしか使わなかった記憶がある。
所が、上手く削れない。
手持ちの3枚を取り換え順番に試したが上手く行かない。刃先が鈍っているのかと思い、研ぎ直しもしたがこれも駄目。ここまでかなりの時間を要したので、チップに戻そうと思った時、刃の高さが合っていないのではと思い至った。
小生はクイック・チェンジ・ツール・ポストを使っているので、一度刃の高さを合わせておけば、それ以降は高さを気にする必要はないが、念の為チャックに咥えた丸棒の端面を削って見た。すると見事に中心を外している。

と解って見ると至極簡単で初歩的な原因だったが、そこに辿り着くまでが大変。色々と回り道をして無駄な時間を費やし、何とかチリコシを作る作業を終えた。

1060製作記(173) 繰出管-(7)

フル・スクラッチ ブレーキ配管関係 形式1060

キャブ内の処理をどうするかを除いて給水管の固定は終わったので、公式側の繰出管の半田付けを行った。

ここで給水管の固定は終わったと書いたが、実は、給水管の曲げ作業で何度か躓いてしまい、結局3~4回も作り直す羽目になった。
まず最初は、サイドタンクの直前でクランク状に曲げて、サイドタンクとの干渉を避ける様にした。これは設計でもその様にしていた上、非公式側では何も問題がなかったので、両側とも半田付けをして、公式側の繰出管の固定に入った。
すると、見事に給水管繰出管が干渉して、繰出管が所定の位置に収められないことが判った。そこで、クランクに曲げる位置を逆止弁の直ぐ近くに移して、何とか干渉を避けた。この段階で、2度作り直したことになるが、これ以外にも曲がり具合が気に入らない等で作り直したので、給水管の工作に予想以上に手間取ってしまった。
今、考えると逆止弁からボイラーの中心に向かって管を伸ばし、ボイラーに当たった個所で直角にキャブ側に向かって曲げれば、工作もより簡単に出来、何度も作り直す必要もなかったと思うが・・・・。

次に、公式側の繰出管の固定に入る訳だが、繰出管の一端はコンプレッサーに接続されている。
この様な工作の場合、繰出管の固定を先行させるか、コンプレッサーを先行させるか、それとも繰出管コンプレッサーを同時に固定するか、先輩諸兄はどの様にされているのか、分からないが、小生はコンプレッサーの固定を先行させることにした。

コンプレッサーの位置決めだが、一応、煙室にはコンプレッサーの脚を差し込むガイド穴を設けているので、前後方向は問題はない。しかし、垂直に保った上で半田を流すことが意外と難しかった。

コンプレッサーの半田付けが終わった所で、イヨイヨ、繰出管の固定作業に入った。
ここで手古摺ったのは繰出管コンプレッサーの接続で、現物合わせで繰出管の長さを詰めた筈だが、どうやら切断し過ぎた様で、繰出管コンプレッサー側の曲がり具合がもう一つ気に入らない。

このまゝ工作を進めるか、何か誤魔化す方法を考えるか、それとも繰出管を作り直すか・・・・・・。

1060製作記(172) 逆止弁・給水管

フル・スクラッチ ブレーキ配管関係 形式1060

非公式側の繰出管の固定に続いて、公式側。
公式側には、コンプレッサーがあり繰出管の折り返しも非公式側よりも多いので、その位置関係を確認している際、給水管繰出管よりもボイラーに近い位置に走っていることに気が付いた。
となると、固定する順番を間違えると、その後の作業が大変になる。

と云う訳で、急遽、順番を変更して、給水管の固定に掛かった。

逆止弁エコーのロストワックスのパーツ(1787)で、給水管は0.6mmの真鍮線を使用。
作業そのものは、それ程難しいものではなく、時間も掛からなかったが、こうして写真を撮って改めて眺めてみると・・。
残念ながら、給水管ランボードに対して平行になっていない。
注意を払っていた筈だが、この辺は良くも悪くも小生の好い加減さの表れだろう。

本来ならば修正すべきだろうが、この部分はサイド・タンクの陰に入ってしまうため、全く目に触れることはないので、目を瞑って次の作業に入ることにする。

所で、給水管キャブ内部での処理をどうするかだが・・・。
当初はキャブ妻板の内側で切断して、キャブ内部での配管は省略する積りでいた。しかし、それでは何となく物足りない様な気がして来ている。
と云っても、どの様に配管されているか資料もない。それらしく出来れば良いのだが。

1060製作記(171) 繰出管-(6)

フル・スクラッチ ブレーキ配管関係 形式1060

繰出管連結管の工作までは進んだが、それをどの様にして半田付けをするか手順を考えている内に、1週間経ち、1ヶ月経ちしている内に間隔は徐々に広くなり、・・・・。

そして、湘南鉄道模型クラブの新年運転会にお邪魔してS氏のお元気なご様子を拝見し、このまゝではイカン、何とかしなくては
との思いを強くして帰って来たが、中々腰が重くて・・・・・。

で、ようやく重たい腰を上げて、7か月ぶりに工作机に向かった。

実は、昨年の9月に白内障の手術をしたのだが、今回が術後初めての工作。
手術では濁った水晶体の代わりに挿入したのは多焦点レンズだったので、今ではメガネなしで近くも遠くも見える様になり、60年振りに裸眼の生活になった。しかし、近くが見える様になったと云っても、新聞を読むには不自由しない程度で、模型工作の様な極細かい点を見るには辛いものがある。
と云う訳で、今回からヘッド・ルーペが工作には欠かせない大切な友となった。

工作が中断したのは、前述の様に、出来上がった繰出管連結管などのパーツをどの様に固定して行けば、今後の工作にも支障がなく、綺麗に仕上げられるか良いアイデアが浮かんで来なかったのが理由。
しかし、6か月以上間が空いたからと云って良い方法が見付かる訳でもない。だからと云って模索してばかりいると、下手な考え休むに似たりとなって、又々、永い冬眠に入ってしまうのは必定。

と云う訳で、兎に角、手を動かすことにして、先ず非公式側の配管に手を付けた。
問題は、繰出管連結管の繋ぎ方だが、現物合わせで切断位置を決め芋付けする積りでいた。手が触れる場所でもないし、力が掛かる所でもないので、強度はそれ程必要ないだろうと考えた。しかし、万が一外れてしまうと修復が難しそうな場所なので、念のためにパイプを使うことにした。

素材は、外径0.8mm、内径0.4mmのパイプで、内径を0.5mmに広げて使った。
見方によっては継手に見えるかも知れないと期待したが、外径0.5mmの連結管に対して0.8mmでは少々太過ぎる様に思ったので、ヤスリで少し外径を削って見た。
しかし、この段階では継手どころかパイプを被せていることも、写真でも肉眼でもしかと判らず、期待外れだったし、又、杞憂だったかも知れない。

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