2006年5月22日

5230製作記(6)

今回はテンダーの前方、缶に近い方にある衝立の様なものを作った。古典機のテンダーでもこの衝立があるものとないものがあるが、長岡京市のK氏から頂いた写真や組立図、金田氏の図面にはっきりとある以上、手を付けない訳には行かないだろう。

所が、この衝立の目的や用途が良く判らない。その上に、側面から見た形状は写真や図面から判断できるが、前後から見た形状がさっぱりと判らない。扉があったのかメクラ蓋状になっていたのか等々。
サイズは組立図や金田氏の図面をベースに何とかでっち上げることが出来るにしても、これじゃ・・・。

と云う訳ででっち上げたのが写真のもの。
因みに材料は、0.4mmの真鍮を使ったが、0.3mmの方が工作が楽だったかも知れない。窓枠は、衝立にあけた4.6mmの穴にピッタリと合う様に、真鍮棒を削りその中心に4mmの穴をあけてパイプ上にしたものを輪切りにして半田付けした。この工作は小さいながらも旋盤があったから簡単に出来た様なもので、なければ結構大変な作業になっただろうと思う。
写真では良く見えないが、後ろに突き出した箱状のものは、衝立を馬蹄形状に切り抜きその縁に沿って7mm幅に切り出した0.4mmの真鍮板を半田付けし、その上で、後部に0.4mmの真鍮板を半田付けして整形した。実物がこの様になっていたかどうか、本来であればキチンと調べた上で工作をすべきであろうと思うが、手抜きも甚だしい所。

2006年5月15日

5230製作記(5)

テンダーの形式について書いた部分に対して、長岡京市のK氏からメールで次の様なご指摘を頂いた。このブログを読んで頂いている方々に正確な情報を得て頂く為に、一部を公開させて頂く。

『5230形のテンダーはDubs製で、国産ではありません。5130形のほうは機関車のみがKitson製で、テンダーは国産です。 このことと混同されているのではありませんか? 5130形のテンダーの図面は伝わってはいません。しかしこれは、7010形・7030形のテンダーと殆ど同じです。』

こうして教えて頂き、正確な知識を与えて頂けるのは本当に有難いことである。換言すれば、自身の勉強不足を露呈する結果となり、甚だ汗顔の至りである。知らぬは末代の恥と云う故、もっと勉強しなければと深く反省する次第。

さて、この蒸気に引かせるテンダーをどうするか、だが・・・・?
更に、この点もK氏に指摘して頂いた点であるが、煙室部分の延長の有無がある。5130の原型はどうやら煙室の延長はされていない模様だ。加えてテンダーの形状。
この2点から改めて、鉄模社のキットに付属している図面を見ると・・・・。

煙室の延長はされておらず、しかも、テンダーは7010タイプではないか!!!
とすると今工作に入っているのは、5230ではなくて矢張り5130なのか????
よくよく考えて見れば、鉄模社は鉄道模型で飯を喰っていた会社。それに対してこの小生は単なる模型好きで勉強もしていないと来た。最初からこの点を間違えていた。鉄模社を当然のことながら信用すべきであったかも知れない・・・。

実は、テンダーの再作成には既に着手しており、写真の状態になっている。つまり、K氏に送って頂いた組立図に基づいているので、これは、明らかに5230用のものだろう。と云うことは、ボイラーも延長して名実ともに5230にする必要があるかも知れない・・・・。尤も、延長されていない5230もあった様なので、このまま工作を進めても、5230ですと云えない訳ではないだろうが。

因みに、このテンダーは、キットの側板と後部妻板だけを利用して石炭用スペースと水タンクとの境板等は0.4mmから切り出した。

2006年5月 8日

5230製作記(4)

先日、ひょんなことから懇意にして頂いている長岡京市のK氏から、5130の組立図や5230の写真など資料を頂いた。と同時に、ランプ掛けの取り付け位置・向きが普通とは違っていることや煙室の伸張具合、ピストンの往復運動を利用した給水ポンプの存在等、全く気が付かなかった点を教えて頂いた。 この様な細かな点まできちっと把握されている氏の観察眼には恐れ入る。

頂いた組立図のテンダー部分と写真の状態にまで組立てたテンダーを比べていると、随分と違うことに気が付いた。
先ず、側板上部のRが小さ過ぎた。組立図には7インチとの記載があるので模型では2.2mm、詰り直径で4mmは要りそうだ。テンダー前部の衝立状のものやその後部の箱状(?)のものの有無、用途は不明だが側板上部のRの上にある半円のパイプ状のもの、貯水のタンクの形状も違っている。
キットはどのテンダーをモデルにしているのだろうか? 当時の輸入機に見られる様にエンジンだけ輸入して、テンダーは国産で組立図のものとは違う? しかし、頂いた写真のテンダーは見る限り組立図と同型の様だが・・・。

それよりももっと驚いたのがスケールである。このキットに付属している図面ではテンダーの横幅は26mmと記載されている。金田氏の図面を見るとテンダー幅は1848mm故、1/80では23mmとなる。それが26mmで設計されているのであるからかなりのオーバー・スケールである。しかも、エッチング・パターンを描く時に間違えたのであろうと思うが、写真の状態で幅を実測すると26.5mmもある。
テンダーだけではなくエンジンの方もスケールよりも一回り大きい。スケールの約10%増、つまり、1/80ではなくて1/70位のサイズになっている様だ。2800の際も同様であったが、どうもスケールと云った面から見るとこのキットは少々大雑把なのかも知れない。と云うよりも、動輪のサイズやレール幅からある程度ボーバー・スケールにしなければ仕方がないのかも知れない。
2800の時は、この点が気に入らずに鉄模社のキットを利用したスクラッチと云っても良い程であった。しかしこの5230も同じ様にすると、キットを使う意味がないので、今回はキットのサイズを尊重することにした。

実は、今でもどうするか迷っている。と云うのもテンダーはかなり作り込む必要がある。とすれば出来るだけスケールを尊重したい・・・。

全体をどうするかは別にして、取敢えずテンダーの図面は描く必要がありそうだ。

2006年5月 3日

5230製作記(3)

昨日、鉄模の大先輩でありKKCの仲間でもある中村氏から、テンダー側板上部の末広がり部分の工作方法をコメントして頂いた。
ただ、氏には誠に申し訳ないことだが、折角ご教授頂いた方法は間に合わなかった。

実は、自分なりに治具を造り末広がり部分の工作を終わってしまっていた。
下に映っているのが、小生の考えた治具で、1mm厚の真鍮板に径3mmの洋白棒を半田付けしたのもである。
厚みが3mmの板であればそのまま径3mmの丸棒を半田付けすれば問題ない。しかし、生憎3mm厚は手許にないので1mm厚を使ったため、片面となるが、棒と板の面を合わせて面一(ツライチ)にして(写真に映っている面)、その面を使った。

この治具と切り出した側板や妻板を一緒にバイスに挟みアルミの切れ端でグイと曲げた。
治具の真ん中辺りに半田付けしている真鍮の帯板は、位置決め用。

側板と妻板の接合は単なるイモ付けではなく、夫々を斜め45度にヤスリを掛けた。こうすることによって上部のR部分のカーブも自然に削れる。

ここまで出来てしまうと、嬉しくて後先の手順も考えずに半田付けしてしまった。

2006年5月 1日

5230製作記(2)

エッチング・キットに手を付ける前に、動輪の位相合わせ治具を作った。

土台とフレームは、真鍮の角棒から、夫々7.5mm、9.8mmの厚さにミーリングで削り出した。勿論、刃は自作のフライ・カッターを使ったが(写真の真ん中と右)、自作だけにこのML-210のミーリング・アッタッチメントにはピッタリサイズで使い易い。と云うか、付属のフライカッター(写真の左)は少々大き過ぎる様に思う。精密バイスもしっかりとワークを銜えて呉れている。

特にフレーム等は1mm厚の板2枚で作っても何の問題もなかったし、寧ろそうする方が時間も掛からずに済んだ筈だが、久し振りに旋盤を使って見たかったので、敢えてそうした。

フレームのギアの入る部分の欠き取りは、径4mmの2枚刃エンドミルを使い、一度の切り込み量を0.1mmにして少しづつ削った。本当を云うともう少し切り込み量を増やしたい所だが、ML-210のミーリング・アッタッチメントの剛性では無理が出来ない。急ぐ仕事でもなし、のんびりと構えた・・・積り。

クランク・ピン位置を決める板は、3mm厚のアルミ端財を使った。真鍮に比べると遥かに柔らかくて210には最適な材料だと思う。強度的に心配がなければアルミを多用すべきかも知れない。

位相合わせ治具が完成して、フト気が付いた。動輪の車軸を抜く治具がなければ意味がないことに・・・。
そして慌てて造ったのがこれ。
材料は5mm厚のアルミ。強度を考慮すると最低でも真鍮を使うべきかも知れないが、駄目なら作り直すさ・・。

車軸を押し出すネジは快削鋼を使った。快削鋼はサクサクと削れて気持ちが良い。切り粉もパラパラとした細かい粒上になるので、棘の様に手に刺さることもない。手に入れる方法が限られるのが玉に瑕だが・・・。

次は、テンダーの側板上部の末広がり部分を工作するための治具だが、どうの様に作るか???