2009年9月25日

介護問題

前回の更新が8月3日だったので、2ヶ月近くも間を空けてしまったことになる。

実は、8月17日に87歳になる母親が入院したことが原因であった。
原因は食欲不振から来る極度の衰弱で動けなくなったことだったが、入院中に尿路感染症、敗血症そして敗血症から来るショックで一時期は脈拍が30、血圧の高い方で60前後にまで落ち込み、非常に危険な状況だった。その後、急速に回復し、現在は介護老人保健施設に入り入院中に弱った足腰の機能回復のためのリハビりをして貰っているが、兎に角、この1ヶ月余りの間は落着かない日の連続で、バイクの免許取得も釣りも何もかも棚上げにせざるを得なかった。

実は、高齢の母親がいるにも拘らず、非常に元気であったので、介護はまだ先のことと余り関心を持っていなかった。しかし、入院先の病院では、横浜市の介護制度に関する概略の説明や施設などの紹介等もあって、介護について強く意識させられると同時に、非常に有難く感じたのだが、その一方で、病気が治ると直ちに退院せよと迫って来る。病気を治す施設が病院であるので、病気が治れば当然、と云う理屈は、尤もだと思うが、そのギャップの大きさに違和感を感じさせられた。

高齢者が退院後に戻る先は、と云うと、本来的には『自宅』であるべきだろう。しかし、多くの高齢者の場合は、寝た切り状態が例え2-3日の間だけであっても続くと、足腰が驚く程弱ってしまうと云われている。足腰以外にも、入院が切っ掛けとなって認知症が急速に進んでしまうことも多いらしい。従って、理由は様々だが、真っ直ぐに自宅に戻れない場合も多く、その場合の受け入れ先は、介護老人保健施設介護療養型医療施設特別養護老人ホームの他民間が運営する所謂老人ホーム等の施設になる。
従って、病院がこの様に介護制度の説明を行ったり、施設の紹介をするのは介護問題に対する仕組みとしては甚だ頷けるものだと思う。問題は、それらが有機的に機能しているかどうかである。

今回の母親の入院を切っ掛けとして図らずも介護問題に直面することになったが、有機的に機能しているかどうかについては、残念ながら否定的な印象を強く持っている。

詰まり、自宅以外の受入れ先としての施設は沢山存在するのだが、実際問題として『空き』がないのが現状だし、仮に『空き』があっても受け入れて貰えるかどうかは、その施設の審査結果によるのである。

先ず、『空きがない』点についてであるが、介護老人保健施設について云えば、本来的には入所期間は1-3ヶ月とされているし、介護療養型医療施設の場合は6ヶ月が最長期間とされている。従って、これらの施設の入所者は、自宅に戻らない場合や最終受入れ先である特別養護老人ホームに入所出来ない限り、3ヶ月乃至6ヶ月毎に次の入所先を探し回らなければならない介護難民となる以外にないのである。施設によっては、やむを得ず期限延長に応じている所もあり、場合によっては、それを売りにしている施設も存在している。その結果として、慢性的に満室状態が続くことになる訳である。

次に、『受け入れて貰えるかどうか』であるが、本人の要介護度の高低や性別等がその施設の方針に合わない場合は、受入れて貰えない様である。施設側は、この点の明言を避けていたが、ニュアンスとしてどうもこの様である。詰まり、本人は選ぶ側ではなく選ばれる側にあると云うことである。

と云う訳で、介護問題を強く意識させられた1ヶ月余りだった。